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AI開発福岡ブログ:要件定義から始めるAIシステム開発 — 成功率を大きく左右する“最初の30%”の重要性

2025/10/02

AIやDXが盛んに語られるようになった今、多くの企業が「AIを使って業務を効率化したい」「自動化を進めたい」と考えています。確かにAIは強力な技術ですが、それを“現場で使える形”にするためには、技術力よりも先に、プロジェクトの土台となる「要件定義」の質が問われます。

AI-XENONでも、最も時間をかけているのは開発工程のごく初期にあたる「ヒアリング〜要件定義」フェーズです。この段階でズレが生まれると、後工程でそのズレが何倍にも膨らみ、機能追加やリカバリーのコストが跳ね上がってしまいます。

この記事では、AIシステム開発において要件定義がなぜ重要なのか、また、どのような観点で進めるべきかについて解説します。


■ 1. AI開発が“技術勝負”ではなくなった理由

AI開発というと、モデル構築や技術要素に注目が集まりがちです。しかし実際の現場では、技術よりも“何を作るのか”の設計段階でつまずくケースが圧倒的に多く見られます。

たとえば、企業からの最初の相談では「AIで自動化したい」「AIで分析してほしい」という抽象的な表現で始まることが少なくありません。その言葉の裏には、「業務のどこに課題があるのか」「どのデータが必要なのか」「結果をどう業務へ反映するのか」といった具体的な論点が隠れています。

AIは魔法ではなく、業務フローとデータがあって初めて成立する技術です。目的が定まっていなければ、いくら高度なモデルを作っても意味のあるアウトプットにはならず、現場にも定着しません。こうした問題を未然に防ぐのが、要件定義の役割です。


■ 2. 要件定義フェーズで行うべきこと

AI-XENONの要件定義では、単に「機能の洗い出し」を行うだけではありません。プロジェクト全体の成功可否を左右するため、事業・業務・データ・運用の4つの視点から深く掘り下げていきます。

最初に取り組むのは、社内の業務整理です。現在どのようなフローで業務が進み、どこにボトルネックがあるのかを明らかにします。ヒアリングだけでなく、実際の現場での作業を見たり、関係者に多角的な質問をしたりすることで、言語化されていなかった課題が可視化されていきます。

次に、データの棚卸しを行います。AIモデルの精度はデータに依存するため、どのデータがどこに存在し、どの形式で保管され、使えるレベルにあるかを確認します。過去データの欠損、形式のバラつき、入力ルールの違いなど、運用上の問題点もここで明らかになります。

そして、要件定義で特に重視しているのが「運用設計」です。システムはリリースして終わりではありません。どの部署がどのタイミングでデータを入力し、AIの結果を確認し、アウトプットを業務に反映するのか。誰が管理し、どのように運用改善を行っていくのか。この設計を明確にしなければ、AIは“作っただけ”で活用されない仕組みになってしまいます。


■ 3. AI-XENON流「要件定義の進め方」

AI-XENONでは、以下の3つの流れに沿って要件定義を進めています。

最初に「ビジネス要件」を定義します。これは、AIを導入することで企業がどのような成果を得たいのか、数値・プロセス・感覚まで含めて具体化する作業です。単に“効率化”という言葉ではなく、業務時間をどれだけ削減したいのか、品質をどう改善したいのか、どのKPIに影響を与えるのかといった点まで突き詰めます。

その上で、「データ要件」を整理します。必要なデータが社内にあるのか、外部データが必要なのか、データの正規化が必要か、頻度はどれくらいか。ここで CORE20 のような外部データ連携が活きる場面も多くあります。

最後に「技術要件」を決めていきます。AIモデルの種類や方式、API設計、画面UI、ワークフロー、ログ設計、権限管理などです。ここでは、XENON40が持つ共通基盤が大きな役割を果たします。ゼロから作るのではなく、認証・DB・AI要約などの基盤機能を流用することで、要件定義の段階で“現実的な開発計画”を描きやすくなるためです。

この「ビジネス → データ → 技術」という順番で要件を固めていくことで、後工程での無駄な手戻りを最小限に抑え、プロジェクトの成功率を高めています。


■ 4. よくある失敗を“要件定義で防ぐ”

AI開発の現場では、意外なほど同じ失敗が繰り返されています。その多くは要件定義の段階で注意を払えば回避できるものです。

たとえば「データが足りない」という問題は典型例です。必要なデータが揃っていなければ、AIモデルは精度を出せません。しかし、実際の現場では、開発を進めてから「データが足りなかった」と気づくことも少なくありません。要件定義で早期に棚卸ししておくことで、学習データの確保や外部データの追加など、実現可能な計画が立てられます。

また、業務側の運用が曖昧なまま進めてしまうことも問題です。AIが出した結果をどの画面で見て、誰が確認し、どのプロセスへ反映させるのか。この動線が不明確だと、システムを作っても現場に浸透しません。要件定義で“利用シーン”を具体的に想定しておくことが不可欠です。

さらに、現場教育を軽視すると、運用開始後に混乱が生まれます。新しい仕組みは、現場の理解と共感がなければ定着しません。要件定義で変更点を明確にしておけば、教育計画も立てやすくなります。

これらの失敗は、すべて要件定義の精度を高めることで防ぐことができます。


■ 5. 要件定義が企業にもたらすメリット

要件定義がしっかりしているプロジェクトほど、後工程の負荷が軽くなり、開発コストが最適化されます。不要な機能を作らなくて済むため、シンプルで効果的なシステムに仕上がります。何より、現場で“使われるAI”になる確率が高まります。

また、運用フェーズに入ってからの改善も容易になります。要件定義の段階で「何をどう改善していくか」の方針が決まっていれば、データが溜まるほどにAIの精度が高まり、価値が長期的に上がっていくからです。

AIシステムは、一度作れば終わりのものではありません。運用しながら改善し続けるための“筋道”を最初に決めておくことが、企業のデジタル基盤を強くし、変化に対応できる組織を育てるのです。


■ おわりに

AIシステム開発は、表面的には高度な技術を扱うプロジェクトに見えますが、実際には「要件定義」が成功率の大半を握っています。何を実現したいのか、そのためにどのデータを使い、現場でどう活かすのか。この筋道が明確なほど、AIは確実に企業の力となります。

AI-XENONでは、XENON40 と CORE20 という基盤を活用しながら、要件定義を最重要フェーズとして取り扱っています。これにより、技術だけでなく“実務に根付くAI”を提供できる体制が整っています。

次の記事では、外部データを活かしたデータドリブン経営の重要性について、CORE20の実例とともに深掘りします。

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