アナリストら、今後の AI市場価値を数十億ドル規模と予測 — 収益モデル・前提が分散する中で
2025年11月13日付で、Reutersは、テクノロジー企業経営者・アナリストの間で、今後の人工知能(AI)関連支出・収益の見通しに大きな幅があると報じました。例えば、NVIDIA のジェンセン・フアンCEOは「この10年でインフラ向けAI支出が3〜4兆ドル規模になる」と述べ、AMD のCEOは「データセンター向けチップ市場は2030年までに1兆ドル規模になる」と語っています。さらに、企業向けソフトウェア・インフラ・サービスを横断する調査では、2025年のグローバルAI支出が約1.5兆ドルに達し、2026年には2兆ドル超になるとの予測も出ています。
このニュースが重要なのは、地方企業・自治体(例えば福岡)にとって、AI/システム開発を「試しに入れる」段階から、「中期・長期視点で投資・構築すべき戦略資産」に切り替える必要があるというシグナルだからです。つまり、システム設計・データ整備・運用体制・クラウド/ハードウェアの整備を“少額では終わらせない”という覚悟を持つべきです。
SoftBank Corp.が“主権型AI”戦略を強化 — 国産LLM開発と「教師モデル⇨軽量モデル」方式を明示
同日、SoftBank Corp. が自社の統合報告書「Integrated Report 2025」の一環として、国産の大規模言語モデル(LLM)開発を「基盤モデル(teacher)」から「軽量モデル(student)」への蒸留技術で効率化し、さらにそれらを“専門家チーム”として連携させることで、将来的に1兆パラメータ級モデルへ発展させる方針を示しました。
この動きは、国産AI/ローカルAI構築を求める日本企業・自治体にとって有益な示唆を含んでいます。福岡の開発現場でも、「海外モデルをそのまま使う」だけではなく、「自社・地域特有のモデルを作る」「軽量化・高速化・運用コスト抑制を初期設計に入れる」というアプローチが実務的に意味を持ち始めています。
コラム:福岡で考える「価値規模把握+主権AI+地域展開」の3軸設計
今回の2本のニュースを受けて、福岡・地方企業・自治体がAI/システム開発を進める際に意識すべき設計軸を整理します。
① 価値規模把握。AI市場が数兆ドル規模になるという予測から、システムを「短期的な試行」ではなく「中期・長期の価値創出資産」として捉える必要があります。屋台・観光・交通など地域固有のサービスでも、「数年後どれくらいの効率化・サービス向上・収益増加につながるか」を逆算して設計すべきです。
② 主権AI/ローカルモデル。SoftBankの例が示しているように、既存の海外大規模モデルを使うだけでなく、地域・言語・文化に適した“軽量かつ運用可能な”モデルを作る方向が現実化しています。福岡の企業・自治体でも「日本語・福岡文化対応」「通信・遅延・地域データ量を勘案」したAIモデル設計が競争優位になり得ます。
③ 地域展開・運用体制。モデルを作った後、それを運用し続け、更新し、地域に定着させる体制が不可欠です。特に地方ではリソース(人材・データ・インフラ)が都市部と比べて限られているため、「初期だけ作って終わり」にしないよう、「継続改修」「地域内データ蓄積」「成果指標の設定」を盛り込んだ運用計画を早期に描くべきです。 福岡で実践するとすれば、例えば「観光客の行動データ→AIで動線予測→屋台も含めた地域クーポン配布→再訪促進」というモデルを、数年スパンで価値化し、さらには「九州全域」へ横展開可能な仕組みにまで育てるという設計が考えられます。
この3軸を意識すれば、技術導入から一歩進んだ“地域価値+AI資産”の構築が見えてきます。